【特集】糸魚川の現在③ 復興
糸魚川市大規模火災の復興策定について、市役所復興課復興係の能登さんにお聞きした。
端的にいうと、4月現在、復興の見通しは立っていない。いつまでに復興を完了させるかという目安も決まっていない(もっとも、「何をもって復興完了と呼べるのか」という疑問を能登さん自らが投げかけていた。)
ただ、住民や団体などから様々な意見があるため、それを今年8月までにまとめる予定だという。
4月6日に行われた被災者・関係者説明会の資料によると、3つのまちづくり方針がある。
1.災害に強いまち:建物の不燃化、消防水利など防災対策の強化。
2.賑わいのあるまち:市民をはじめ観光客などの集客施設設立や、景観の再生等。
3.住み続けられるまち:老若男女が住みやすく、交流できる集合住宅の建設等。
しかし、これら3つを両立させながらの復興というのはそう簡単ではない。例えば、1を優先して全ての建物を不燃化してしまうと、2で求められている「景観」が損なわれてしまいかねない。
具体的にいうと、雁木通りがその一つ。
雁木とは、商店街の店同士をつなぐ、木製のアーケードのようなものである。
1976年(昭和51年)に山形県で起きた「酒田の大火」では、雁木を伝って火が燃え広がったという。※能登さんは酒田の大火を参考にしているもよう。
画像:火災現場向かい側の商店街。この屋根が雁木。
画像:雁木の内側
糸魚川市は今回の火災を機にまちづくりを推進しようとしているが、安全性をとるか伝統を取るかといった問題は一筋縄ではいかないようだ。
能登さんは「形だけ再生しても復興とは言えない」と語る一方で、一番優先すべきは市民の安全だと言っていた。
8月、意見はどのようにまとまるのだろうか。
◆早急に決めたいこと
ちなみに、7月28日〜29日に「糸魚川おまんた祭り」という夏祭りが催される。このうち29日に行う「市民流し」で市民が歩く区画には、火災のあった商店街が含まれている。
市民流しのコース変更に関しては、6月までに決めるという。
一刻も早い、糸魚川の復興を願う。
動画版はこちら。