【特集】大規模火災から1年、糸魚川市の現在
2016年12月22日に発生した糸魚川の大規模火災。
<被災状況>
発生日時:平成28年12月22日10時20分頃~23日16時30分
焼損棟数:147棟(全焼・半焼・部分焼)
被災者:260人(145世帯・56事業所)
当時、被災者たちはこの公民館に集まり、3階から火災の様子を見ていたという。
↑糸魚川地区公民館
↑公民館3階の踊り場。火災現場がよく見える。
<2017年12月現在>
あれから1年。
今月から、街の再建に向けた工事が始まった。
1年という節目でもあるため、取材も増えてきたそうだ。
メディア関係者らしき男性が撮影しているのは、新潟最古の酒蔵「加賀の井酒造」。
参勤交代での殿様の宿舎「本陣」が設置されていたという歴史がある。
↑加賀の井酒造さん
糸魚川市は復興だけでなく、同時にまちづくりも推進している。
この「復興まちづくり」のために立てられた3つの方針と、優先度の高い6つの重点プロジェクトがこちら。
【3つの方針】
方針1.災害に強いまち
方針2.にぎわいのあるまち
方針3.住み続けられるまち
【6つの重点プロジェクト】(画像参照)
また、「復興まちづくり」の計画対象地域は被災地だけでなく、その周辺も含まれている。地図の赤枠部分が被災地、緑色の範囲が計画対象地域だ。
そして被災地は、本町通りを含む11ブロックに分けられていて、各土地の権利者の生活再建や土地活用などに関する意見交換会が随時行なわれている。
↑被災地のブロック分け
4月に取材した際は、前述した3つのまちづくり方針の中に相反する点があることが論点になっていた。
たとえば、「雁木通り」は伝統的な街の景観であり、方針2の『にぎわいのあるまち』をつくることに繋がる反面、木製のため火災が起きた場合に火が広がりやすいというリスクもあり、方針1の『災害につよいまち』に反してしまう、というものだ。
こうした事情もおさえたうえで作成された、「まちの将来イメージ」がこちら。
↑糸魚川市提供資料より「まちの将来イメージ」
まず、地図中心部の「景観軸(本町通り)」、つまり雁木通りのことだが、ここに延焼遮断帯を設置するという。これは風向きを考慮してのことで、この地域は強い風が南からと北からの交互に吹くため、そこを東西に横切る雁木通りが燃えにくい素材になっていると、火が風にあおられて南北に広がるのを防ぎやすくなる。
↑延焼遮断帯を設置予定の本町通り
本町通り沿いには、先で紹介した加賀の井酒造があり、その北側には日本料理店の「鶴来家」(地図では『割烹』)を再建中だ。
↑日本料理「鶴来家 」を再建する場所。写っていないが左方向に加賀の井酒造がある。
そして加賀の井酒造の向かい側には「にぎわい創出広場」を設置。まだ工事中で主な用途は決まっていないが、多くの人が集う場にしたいという。
地図では三角形で示されているが、加賀の井酒造・鶴来家・にぎわい創出広場の3箇所で連携を取り、以下のように人々の動きの流れを作る目的がある。
鶴来家の西側(地図左上)には、共同住宅を建設予定。復興推進課によると、入居はなるべく、被災者を優先したいとのこと。
↑共同住宅の建設予定地
尚、糸魚川市は復興まちづくりの計画期間を、平成33年までの5カ年とし、復興計画期・復興整備期・復興展開期の3段階で進める予定となっている。