【特集】糸魚川の現在 ①街紹介
4か月経った現在の糸魚川市に、足を運んでみた。
糸魚川市とは
◆東京・埼玉からのアクセスが神
なんと北陸新幹線の開通により、上野・東京・大宮などから金沢方面行きの新幹線一本で行くことができる。取材前に訪ねた旅行代理店のおばさんも、パンフレットの乗り換え案内を見て動揺。
「あら…これおかしいわね…乗り換え場所が書いてないわ…」
「そうですよね、上越新幹線で新潟行って鈍行に乗り換えですよね…?」
と頷く私の前でおばさんは、イトイガワ…イトイガワ…とぼやきながら分厚い冊子をめくっていた。
「あった!!あったわ!北陸新幹線がね、通ってるのよ!」
「そういえば!開通しましたよね!なるほど!」
路線図:北陸新幹線 路線図・座席・料金 | nippon.com より引用
というわけで、ださいたま県民の私は、大宮から“はくたか”に乗って糸魚川へ行った。所要時間は約2時間。新潟といえば上越新幹線のイメージが強いが、北陸新幹線の存在も知ってあげてほしい。
◆人口
新幹線だけに話が脱線したが、人口は約4,4000人(平成27年4月1日現在/市役所HP)。
市役所によると、年々少しずつ減っているという。
私が訪れたのが平日昼間で、「けんか祭り」の日だったこともあるが、市役所周辺以外は人がほとんどいない。糸魚川駅南口のロータリーからT字路につき当たるまでの数百メートルでも、すれ違うのは1人か2人。
糸魚川駅南口。背中方向には市役所がある。
T字路をつき当たると、左方面に天津神社、右方面に市役所があり、けんか祭りの影響でこの一帯だけは賑わっていた。
市役所前の公園(広場?)。映っていないが、すぐそばにけんか祭りの屋台もある。
駅北口は、更に人が少なく感じられた。どことなく埼玉県の鴻巣駅に似ていたが、ここには映画館もサンマルクもない。東京よりも空気が冷たいので、暖かいミルクティーが飲みたくなった。
鴻巣駅に似てると思ってしまった風景
知らない土地でゆっくりお茶するのもいいなと思ったのも束の間。バーや居酒屋が多く、ほとんどのお店はシャッターが閉まっていた。ランチができそうなお店も見つけられなかった。途中、1軒だけ開いているパン屋さんを見つけたが、イートインができないお店だったのでやめてしまった。
あとで聞いたのだが、市役所の職員は、お昼ご飯は持ってくる派が多数とのこと。ただ、少数ではあるが外に食べに行く方もいらっしゃるという。どこで食べているのか知りたかったが、教えてくださった方はお弁当派だったので聞けなかった。
もっとも、この糸魚川駅北口というのは、火災のあった商店街のすぐそばである。火災前はもう少し賑わっていたのだろうか。
4月10日現在の現場。がれき撤去は終了している。
◆気候
裏地を外したコートを着て震えながら、お店を探し歩いた糸魚川駅北口。ここから徒歩3分程度の距離に海岸がある。この地域は海からの風と、山からの風が時間帯によって交互に吹く。
火災のあった時間帯は、山からの風が強く吹いており、最大瞬間風速は27メートルだった。
ちなみに気象庁では風速25メートル以上を暴風としている※1。
現場の地図を見ると、火元から道路を挟んですぐ左側には火が燃え移っていないことがわかるが、これは風向きの影響である。
画像:糸魚川市役所提供
◆けんか祭り
私が糸魚川に赴いたこの日も少し強めの風が吹いており、空気はひんやりとしていたが、天津神社は熱気で満ちていた。
リアル“風ニモ負ケズ”現象を起こしていたのは、天津神社春大祭(あまつじんじゃはるたいさい)、通称「糸魚川けんか祭り」だ。
昔から「十日の祭り」と呼ばれ、毎年4月10日・11日に行われている伝統芸能。
五穀豊穣を祈って押上区と寺町区の若衆が担ぐ、一の神輿と二の神輿をぶつけ合い、太鼓の太鼓の合図で一の神輿が走り出す。一の神輿が幣殿に上がるところを二の神輿に見られなければ勝ち、見られれば負け、というのを何度か繰り返す。回数はその年によってまちまち。
最後は双方が同じ位置から走り出して勝敗を決める。
押上区が勝てば豊漁、寺町区が勝てば豊作になると言われている。
ちなみに糸魚川市の小中学校は、毎年けんか祭りの日は午後が休みになるという。社会人も、けんか祭りを理由に会社を休むそう。
もっとも、糸魚川市民の大半は市内に勤めているため、職場も理解があるようだ。(この姿勢、東京も見習ってほしい。)
※1 正確には暴風域のこと。風速25メートルを超えるまたは超える可能性のある地域を暴風「域」としている。以下、参照ページ。
★糸魚川に関する記事①~③の動画版もあります。