一週間の家出<第2章>充電
(間が空いてしまいました、ごめんなさい)
帰宅が遅くなることを連絡しなかったために家を閉め出された私は、一人で夜を明かした。
↓前回までの話はこちら
午前5時。
行く場所はない。カラオケにしろ居酒屋にしろ、夜営業している店は太陽が昇る前に一度閉店する仕組みになっているらしい。電車は動き出しているが、この時間に帰宅したところで家には入れないだろう。まだどこかで時間をつぶさないと。
スマホを開いても、あてにしていた友人からの連絡はない。何しろ朝の5時だし、土曜日だし、寝ているのが普通だろう。
どこ行こうかな・・・
そうだ、Y子姉さんの家だ!
<その前に説明しよう、Y子姉さんとは>
大阪在住バツイチ。私の母の従妹だが、年齢はちょうど母と私の間くらい。育った家庭環境が私と酷似していて話が合うため、ちょくちょく連絡を取っている。私がブログ執筆や音楽活動をしていることを唯一知っている親戚。
考えた末に思いついたのが、大阪にいるY子姉さんの家に泊めてもらうことだった。家を出たいと相談したこともあるので、事情は理解してくれるだろうと思い、諸々あって家に帰れないからそっちに向かうとの旨をメールで連絡した。
土曜の朝5時半だというのにY子姉さんからはすぐに返信が来た。
「私今日仕事だから夜まで帰らんよ!大丈夫?!」
これは、大阪に着いても一日中暇だということを意味する。
しかし私は咄嗟に、
「いいよ。とりあえずシャワーを貸してください。」
と返信した。
iphoneと一緒に私の充電も減っていたので、事の重大さを理解していなかったのか。
Y子ちゃんの帰宅が夜になるというのはつまり、シャワーを浴びて安全なところで寝る、という自分が今いちばんしたいことがあと20時間くらいできないのだ。せめて洗顔だけでもしたい。どのくらいの人に伝わるのかわからないが、ドライアイとアレルギーのダブルパンチを喰らっている私の両目にとって、睡眠不足とメイクしたままのオールはいろんな意味で痛い。メイク落としシートはどこでも買えるが、十分に洗顔できる場所は無さそうだし、なによりファンデーションを携帯していないので一度メイクを落としたらほぼすっぴんのまま街を歩くことになる。
どうする?大阪の新宿的な「梅田」とやらでネカフェ入ってみる?あ、梅田駅でショッピングしてみる?でももう歩きたくない。
「とりあえず夜まで時間潰しといてね。無理ならうちの両親のとこ行っとく?多分いると思うけど。」
「うーん、大叔母さん(Y子姉さんの母)からうちに連絡されたらこわいから行きたくないけど・・・でも行くしかないか。」
大叔母さんの家は何度か泊まったことがあるし、昔母も(私と父を置いて)一人で駆け込んだことがあるから、受け入れてくれるだろう。
大阪行きの新幹線の時刻を調べ、東京駅構内をぶらっとした後、券売機に並んだ。数分スマホから目を離していた間に、「行くなら連絡してってね。アポなしはルール違反だよ。」とY子姉さんからメールが来ていた。
更に、iphoneの画面上部にLINEの通知が。
昨晩ずっと連絡が取れなかった友人、ポン(仮)である。
「ごめん気づかなかった!!」
「大丈夫?」
(着信)
LINE通話を掛け直すと、ポンはすぐに出てくれた。寝起きのポンにグダグダな事情説明をして、とりあえず家に泊めてもらえることになった。危うく、もうすぐで大阪に行くところだった。Y子姉さんに、友達の家に泊めてもらうことになったから大丈夫と連絡を入れると、一人じゃかわいそうだしそれならよかったとのこと。
ポンの家は東京寄りの千葉。最寄駅に着くと、ジャージにすっぴんのポンが改札前で迎えてくれた。
「おつかれ~(寝起きテンション)」
うん、疲れた。
コンビニで最低限の泊りグッズを買い、ポンの家へ着くと、疲れてるんだからよく温まった方がいいよと言ってお風呂の準備をしてくれた。優しすぎる。持つべきは友だな(以後、これを何度も実感する。)
その後、部屋着とベッドを貸してもらい、午前中にして就寝。
家庭の問題に、巻き込んでごめんなさい。
Mary J.Bligeで「Family Affair」