【お知らせ】糸魚川の動画作りました【百聞は一見にしかず的な】
「糸魚川の現在」というシリーズ記事を3本出していますが、同じ内容を1つにまとめた動画バージョンを作りました。というか、本来は動画メインのつもりだったんですよ。報道系ユーチューバー的な。
アクセス数も増えてきたので、各記事にも埋め込みました。3本とも読んでくださる方は、サムネイルで毎回この女性のお顔を見ることになると思います。糸魚川市役所の白澤さんという方です。被災者が無料でバスに乗れる仕組みを提案した素晴らしい方です。
動画の内容はブログとほとんど同じで、よくある企画系のニュース完パケみたいな感じ。
ナレーションは私です。
プレミアプロ(premire pro)の方がよかったよと文句言いながら、慣れないビデオスタジオで編集したのも私。
人見知りを動画編集ソフトに対しても発症して最初は半パニックでしたが、気がついたら打ち解けていて、ビデオスタジオとは今では飲みに行く仲ですね。ただ、丸とか四角とかの図形の挿入ができないことに関しては許せていないし、一生分かり合えないと思います(※1)。
動画編集は基本的に、素材をタイムラインの上に並べて繋げていく作業です。
並べた素材と素材の隙間をピタッとくっつける「リップル削除」という機能があって、プレミアで編集すると必ずこれを使うのですが、素材同士がピタッとくっつくあの瞬間は、いい感じの男の子と女の子を引き合わせたようなキューピッド感を味わえてきゅんきゅんするから大好きなんですよ。
それがビデオスタジオだと、タイムラインに載せた素材は自動的にくっつくようにできている。付き合うまでのプロセスを訊いたら「気がついたら付き合ってたー」と答えられたみたいでいけすかない。いや、「話しかけたら付き合えたー」みたいな感じですかね。
ビデオスタジオとはやっぱり分かり合えそうにないです。
※1図形の挿入:プレミアだとテロップ作成時にパワポと同じ要領で丸とか四角とか三角などを挿入できるが、ビデオスタジオにはこれがない(っぽい)。そのためベース付きのテロップが作れないのが悩みだが、カラークリップを縮小してベース代わりにするという小技を使った。
ボーイミーツガールのスカート
母が、「あずさワイン買ってきて」と父に頼んだら、“あすだワイン”を買ってきたことがある。
“あずさ”ワインは無添加が売りのワインで、わりとポピュラーなものらしい。
↓“あずさ”ワイン。母が欲しかったもの。
一方、“あすだ”ワインは西友が直輸入しているワインであるらしく、正式表記は“ASDA WINE”。
↓“あすだ”ワイン。父が間違えて買ったもの。
よくそんな似た名前のワインが共存してるもんだと驚くばかりだった。
普段ならけんか祭りが起きそうなところだが、このときばかりは父も母も笑いながら、「何それそんなのあったの囃子」を奏でていた。
母の滑舌が悪かった、似た商品を置いた西友が悪い、
の2つでASDA WINE事件は示談が成立したが、日常で起こる聞き間違いは滑舌云々ではないところに原因がある場合が多い。私が思うに、以下の条件に2つ以上当てはまる場合に聞き間違いが起こりやすい。
①イントネーションが同じ
②頭の音またはアクセント箇所の音が同じ
③話の受け手が話し手の指しているものを知らない
④同音異義語またはイントネーションの類似した言葉で捉えている
ASDA WINE事件では①~③が当てはまっている。
①イントネーションが同じ
→あずさワインとあすだワイン。口を閉じて発音してみると同じ音程になる。
②頭の音またはアクセント箇所の音が同じ
→どちらも「あ」で始まる。
③話の受け手が話し手の指しているものを知らない
→一番の原因はこれである。
私は母が「あずさワイン」をグラスに注いでいるのをよく見ていたから、多少滑舌が悪くとも「あー、いつものあずさワインね。」と理解できる。しかし父は家にいる時間が少なく、母が何のワインを飲んでいるのか知らなかった。母が「あずさワイン」という名前のワインを飲んでいることと、あずさワインの存在そのものを知らなかった父にしてみれば、母の滑舌・発音が全てなのである。
さて、聞き間違いが起きやすい条件は上記4つのうち、2つ以上当てはまる場合だと前述したが、①のようにイントネーションが同じというだけでは聞き間違いは起きない。
例えば、
「東京テレポート」(りんかい線の駅)と「全然寝れねーじゃん」
何言ってんだこいつ…と思うならぜひ口を閉じて言ってみてほしい。同じ音になるから。しかし、こんなに違う言葉を聞き間違えるのはそれこそ全然寝てない人だろう。
大学名だとこんなのがある。
一文字多いが「慶應義塾大学」もモゴモゴ言えば似る。
「中央大学」と「東洋大学」、法政大学あたりも口を閉じれば似ているが、漢字2文字系の大学名は挙げるときりがない。
逆に「早稲田大学」は似た音の大学がない(たぶん)。
ダ行が苦手な人は多いが、「わせららいがく」とか言っても早稲田大学だと伝わりそうだ。
最後に、私が出くわした聞き間違いを紹介しよう。
私は日テレでやっていた「地味にスゴい!校閲ガール河野悦子」というドラマが大好きだったのだが、そのオープニングで石原さとみが履いていたのとそっくりなスカートを近所のお店で見つけたときのこと。
出版社勤務ではないけれど、これを履けば自分も「えっちゃん」になれると思い、興奮気味に「これ!校閲ガールで石原さとみが履いてたのと似てますね!!」と店員さんに言った。すると店員さんは、静かにこう答えた。
「私その、“ボーイミーツガール”観てないのでわからないです。」
は??
と思ったが、なるほどたしかに“つガール”の部分が一致。イントネーションも一致。
ついでに校閲ガールの存在を知らない。①②③により、これは起こるべくして起こった聞き間違いである。
証明以上。
しかしそれでも、下がり始めたテンションを保って試着室に入った。
全然似合わなかった。
Boy Meets Girl ロマンスの神様 この服じゃないね
店員さん、“週休2日しかもフレックス”なところで働けばドラマ観る余裕もできますよ。
ちなみに後で調べたら、石原さとみが着ていた本物は全く別のブランドだった。
富士そばは優しい ーPART Ⅱー
前回の記事で富士そばに触れた。
カツ丼の食券を買ったが、カウンターで「そばですかうどんですか」と訊かれ、第三の選択肢をもって「丼です」と答えたが怒られなかったから、富士そばは優しいと締めくくった話だった。後で知ったが、第3の選択肢を含むことを「例示列挙」と言うらしい。
↓前回の記事『富士そばは優しい』
「そばですかうどんですか」という質問が、警察に通報したときの「事件ですか事故ですか」に響きが似ており、事件と事故はとっさの判断が難しいが、そばとうどんは違いが瞬時にわかると私は述べていた。
しかし今日、こんな記事を見つけた。
↓『外食チェーンの裏側…行ってはいけない!? 立ち食いそばの正体』
そばは、そば粉と小麦粉を混ぜて作るのが一般的だが、激安そば店ではそば粉より小麦粉の割合の方が高く、そば粉:小麦粉=2:8で作られることが多いという。
それが、ひどい店だと1:9のところもあるそうな。
記事にはこんな記述があった。
小麦粉9割のそばって…。
「もはや、そばとは言えません。激安そばの正体は、そば風の茶色いうどんです」
え・・・
じゃあ、小麦粉9割のそばを出す店でそばを頼んで、「そばですかうどんですか」って訊かれたら何て答えればいいの?
①「そばです。」(純粋なそばだと思っているふり)
②「そばです。」(“そば”は商品名だと考える)
③「愚問ですね(嘲笑)。そば粉入りのうどんで。」
もっとも、安い店に入るときというのは、なんでもいいからすぐに何か食べたいときであって、本当においしいそばが食べたかったら、そば打ちの様子が間近で見えるような店に入ればよいのだけども。
この記事では、安くてもそば粉の割合が高い、本物の「そば」を食べられる店を最後に紹介していた。その中に、富士そばの名前は挙がっていなかった。
あんまり性格良くないんだろうなと思っていた知り合いに案の定、裏があることを知ったときのような気分で富士そばのことを思った。
しかし今度は、関連記事にこんなものを見つけた。
↓『アルバイトにもボーナスを支給する理由とは?「富士そば」会長が語る、超ホワイトな経営哲学』
正社員ですらボーナスがもらえない企業もあるのに、富士そばはアルバイトにもボーナスを支給するという。
昔から母に言われてたの。「お金が欲しいなら、独り占めしちゃダメ。みんなに分けてやる精神がないと絶対に大きくなれない」って。だから富士そばでも、前年よりよければ給料を増やしなさいと言ってるのね。それさえしっかりしていれば、僕がどうのこうの言わなくても、みんな一生懸命やってくれる。
(中略)
売り上げを増やせば、自分たちに返ってくるとわかってるから、僕が何も言わなくても、なんとかして売りたいといろいろ考えてくれる。
これは、この記事に書かれていた、富士そばの丹社長の言葉。
待遇を良くすれば、従業員もそれに応えようと、売り上げを増やすために試行錯誤してくれるという考えだ。
丹社長は、自分が上京した頃の寂しさや苦労をよく覚えていて、それを店の経営に活かしているという。最初の方にこんな記述もあった。
やっぱり東京は地方から出てきた人が多いから、家賃を払うのに精一杯な人も少なくないでしょ。
懐が寂しい人の事情を本当によくわかっている。貧乏だと空腹時、なんでもいいから食べたい、と思う。そばに含まれるそば粉が何割だろうと関係ない。“茶色いうどん”だろうが10割そば※だろうが、そこそこおいしければいいのだ。食べられるものを安く提供する。上京したての若者や、懐のさみしい人への配慮で、あえて必要以上に凝らないことが、富士そばのやり方なのかもしれない。
富士そばのそば粉の割合はわからないし、立ち食いそばと言えどそれなりにこだわりをもってそばを作っているのだとは思う。私はただネット記事を読んだだけなので確かなことは言えないけれども、一つだけ言い切れることがある。
やはり富士そばは優しい。
Superfly『やさしい気持ちで』(00:16から始まります)
実は富士そばは片手で数えられるくらいしか行ったことがないのだけど。
※10割そば:そば粉10割のそばのこと。そば粉にはつなぎの成分がないため、小麦粉を混ぜた方が麺の形にしやすいが、小麦粉不使用のそばも存在している。
富士そばは優しい
友人と富士そばに行った時のこと。
食券を持ってカウンターに行くと、白い割烹着を着たおじさんに
「そばですか?うどんですか?」
と訊かれた。私が購入した食券はカツ丼だったので、カツ丼はそばなのかうどんなのかを0.7秒程度で熟考した結果、
「えーっと、丼です。」
と答えた。カツ丼のカツの衣部分はうどんの材料と同じ小麦粉だけれども、カツはうどんではないし、言うまでもないがそばでもないと判断したためだ。そもそもカツ丼のメインは米である。
「そばですか?うどんですか?」
「丼です。」
「そばかうどんかって訊いてんだろうが!!馬鹿野郎!!」
という展開になるのを恐れていたが、じゃあそちらでと、丼ものカウンターへ案内されるだけで済んだ。
「丼(どん)です。」と小さな声で言ってしまうと、「うどんです」を「ぅどんです」と言ったように聞き間違われるのではないかいう懸念もあったが、私はアナウンサーのごとく明瞭に「どんです」と答えたため、その心配も無用だった。
その後もカウンター兼調理場の前で続いていた、
「そばですか?うどんですか」
という台詞。その響きに、どうも聞き覚えがあった。
「事件ですか?事故ですか?」
110番通報したときのあれだ。
以前から疑問に思っていたが、素人が事件と事故をとっさに区別することなどできるのだろうか?
例えば、
①横断歩道で歩行者と大型ワゴンが接触し、歩行者が意識不明。
→これは明らかに事故。(事故に見せかけた計画的犯行である可能性は考えないものとする)
②自転車同士がぶつかり、2台とも横転、片方が怪我。
→これも事故。
③ながらスマホをしていた歩行者同士が正面衝突。二人とも無傷だが、ポケモンGoをしていた方がレアなポケモンを逃してぶち切れ、けんかに発展。
→事件?ぶつかっただけなら単なる事故であり、通報も必要なさそうだが、けんかに発展し殴り合いにまでなるとこれはもう、事件?
とはいえ、「事件です」の回答は素人には重過ぎると私は思っている。事故ではないなら消去法で事件と答えるしかないが、これは何とも勇気が要るものだ。
そもそも、事件と事故というのは境界線が曖昧だ。事件は事故であり、事故は事件である。事件に巻き込まれるという事故、事故に巻き込まれるという事件。
③の場合は、事故をきっかけに事件へ発展。(そういう無駄なことばかり考えるから仕事できないんだよ)
人生において、通報するという経験はそう多くはないだろうが、ゼロとも限らない。
いざ通報することになったとき、あなたは事件と事故をとっさに判断できますか?
それに比べれば、そばとうどんと丼の違いは明確でよろしい。材料も麺の太さも違うからだ。
そして何より、「そばですか?うどんですか?」の問いに「丼です」と第三の選択肢で答えても怒らない富士そば、優しい。
「そばですか?うどんですか?」
「事件です。」
これはさすがに怒られるだろうな。
事件は富士そばで起きてるんだ。
織田裕二withマキシ・プリーストで、「Love somebody」
【特集】糸魚川の現在③ 復興
糸魚川市大規模火災の復興策定について、市役所復興課復興係の能登さんにお聞きした。
端的にいうと、4月現在、復興の見通しは立っていない。いつまでに復興を完了させるかという目安も決まっていない(もっとも、「何をもって復興完了と呼べるのか」という疑問を能登さん自らが投げかけていた。)
ただ、住民や団体などから様々な意見があるため、それを今年8月までにまとめる予定だという。
4月6日に行われた被災者・関係者説明会の資料によると、3つのまちづくり方針がある。
1.災害に強いまち:建物の不燃化、消防水利など防災対策の強化。
2.賑わいのあるまち:市民をはじめ観光客などの集客施設設立や、景観の再生等。
3.住み続けられるまち:老若男女が住みやすく、交流できる集合住宅の建設等。
しかし、これら3つを両立させながらの復興というのはそう簡単ではない。例えば、1を優先して全ての建物を不燃化してしまうと、2で求められている「景観」が損なわれてしまいかねない。
具体的にいうと、雁木通りがその一つ。
雁木とは、商店街の店同士をつなぐ、木製のアーケードのようなものである。
1976年(昭和51年)に山形県で起きた「酒田の大火」では、雁木を伝って火が燃え広がったという。※能登さんは酒田の大火を参考にしているもよう。
画像:火災現場向かい側の商店街。この屋根が雁木。
画像:雁木の内側
糸魚川市は今回の火災を機にまちづくりを推進しようとしているが、安全性をとるか伝統を取るかといった問題は一筋縄ではいかないようだ。
能登さんは「形だけ再生しても復興とは言えない」と語る一方で、一番優先すべきは市民の安全だと言っていた。
8月、意見はどのようにまとまるのだろうか。
◆早急に決めたいこと
ちなみに、7月28日〜29日に「糸魚川おまんた祭り」という夏祭りが催される。このうち29日に行う「市民流し」で市民が歩く区画には、火災のあった商店街が含まれている。
市民流しのコース変更に関しては、6月までに決めるという。
一刻も早い、糸魚川の復興を願う。
動画版はこちら。
【特集】糸魚川の現在② 現場の様子と支援状況
昨年12月の大規模火災から4ヶ月。
◆現場
<火災当時>
合計147棟が焼損(全焼:120棟、半焼:5棟、部分焼:22棟)。
145世帯、56の事業所、260人に被害が出た。
現場周辺と、がれきの仮置き場でのアスベスト、ダイオキシンの数値は共に標準値だった。
画像:糸魚川市役所HPより
<現在>
市による、基礎以外のがれき撤去は3月22日に終了。一度更地にするため、今後はコンクリートを剥がす作業が始まる。
画像:がれき撤去の終了した現場(4月10日撮影)
撤去されたがれきは姫川河川敷に運ばれた後、次のように分別し、それぞれ事業者に処分された。
・金物→坂井ストックヤード
・廃木材→セメント工場
・可燃物→清掃センター
・コンクリートがら→処理事業者
・混合廃棄物→最終処分場
火災で焼失した事業所は、徐々に仮店舗で営業を再開している。
◆支援
今回の火災を受け、市役所は様々な支援サービスを行なっている。
その一つが、「がんばれ糸魚川おでかけパス」。
火災によって車などの移動手段を失い、外出が困難になった被災者が、糸魚川バス株式会社が運行する市内の路線が乗り放題になるというサービス。
画像:がんばれ糸魚川おでかけパスのサンプル
もともと糸魚川市には、「高齢者・障害者おでかけパス」というサービスがある。これは、市内の路線バスの定期代を市が一部負担することで、高齢者や障害者の外出を支援するもの。本来5,660円かかる6か月定期が、3,000円となる。これを応用し、市が定期代を全額負担することで、被災者は無料で市内の路線バスを利用できるようにしたのが、おでかけパスである。
「がんばれ糸魚川おでかけパス」を考案したという、糸魚川市役所建設課の白澤さんは、思いついたきっかけについてこう話す。
画像:糸魚川市役所 建設課計画交通係主査 白澤光子さん(市役所内を案内してくださった方★)
『早い段階から、(市役所の)それぞれの課で、被災者の生活を支援をするアイデアを出しなさいと言われていました。被災者の方は、まずはその日の寝る場所や、翌日の生活といったものが最優先だったので、最初は(おでかけパスの案は)脇におかれていましたが、1月の被災者説明会のときに、お医者さんに行くとかお買い物に行くとか、生活の足に困っているという話を聞き、この制度を立ちあげました。』
東京とは違い、スーパーや病院など日常の移動に車が欠かせない地域なので、こういったサービスは「ありがたい」を通り越して、「必要不可欠」なのではないか。
申請には、被災証明書または罹災証明書(提示のみ)と本人確認書類があればOK。
尚、がんばれ糸魚川おでかけパスは平成30年3月31日まで継続予定。
【動画版】
【特集】糸魚川の現在 ①街紹介
4か月経った現在の糸魚川市に、足を運んでみた。
糸魚川市とは
◆東京・埼玉からのアクセスが神
なんと北陸新幹線の開通により、上野・東京・大宮などから金沢方面行きの新幹線一本で行くことができる。取材前に訪ねた旅行代理店のおばさんも、パンフレットの乗り換え案内を見て動揺。
「あら…これおかしいわね…乗り換え場所が書いてないわ…」
「そうですよね、上越新幹線で新潟行って鈍行に乗り換えですよね…?」
と頷く私の前でおばさんは、イトイガワ…イトイガワ…とぼやきながら分厚い冊子をめくっていた。
「あった!!あったわ!北陸新幹線がね、通ってるのよ!」
「そういえば!開通しましたよね!なるほど!」
路線図:北陸新幹線 路線図・座席・料金 | nippon.com より引用
というわけで、ださいたま県民の私は、大宮から“はくたか”に乗って糸魚川へ行った。所要時間は約2時間。新潟といえば上越新幹線のイメージが強いが、北陸新幹線の存在も知ってあげてほしい。
◆人口
新幹線だけに話が脱線したが、人口は約4,4000人(平成27年4月1日現在/市役所HP)。
市役所によると、年々少しずつ減っているという。
私が訪れたのが平日昼間で、「けんか祭り」の日だったこともあるが、市役所周辺以外は人がほとんどいない。糸魚川駅南口のロータリーからT字路につき当たるまでの数百メートルでも、すれ違うのは1人か2人。
糸魚川駅南口。背中方向には市役所がある。
T字路をつき当たると、左方面に天津神社、右方面に市役所があり、けんか祭りの影響でこの一帯だけは賑わっていた。
市役所前の公園(広場?)。映っていないが、すぐそばにけんか祭りの屋台もある。
駅北口は、更に人が少なく感じられた。どことなく埼玉県の鴻巣駅に似ていたが、ここには映画館もサンマルクもない。東京よりも空気が冷たいので、暖かいミルクティーが飲みたくなった。
鴻巣駅に似てると思ってしまった風景
知らない土地でゆっくりお茶するのもいいなと思ったのも束の間。バーや居酒屋が多く、ほとんどのお店はシャッターが閉まっていた。ランチができそうなお店も見つけられなかった。途中、1軒だけ開いているパン屋さんを見つけたが、イートインができないお店だったのでやめてしまった。
あとで聞いたのだが、市役所の職員は、お昼ご飯は持ってくる派が多数とのこと。ただ、少数ではあるが外に食べに行く方もいらっしゃるという。どこで食べているのか知りたかったが、教えてくださった方はお弁当派だったので聞けなかった。
もっとも、この糸魚川駅北口というのは、火災のあった商店街のすぐそばである。火災前はもう少し賑わっていたのだろうか。
4月10日現在の現場。がれき撤去は終了している。
◆気候
裏地を外したコートを着て震えながら、お店を探し歩いた糸魚川駅北口。ここから徒歩3分程度の距離に海岸がある。この地域は海からの風と、山からの風が時間帯によって交互に吹く。
火災のあった時間帯は、山からの風が強く吹いており、最大瞬間風速は27メートルだった。
ちなみに気象庁では風速25メートル以上を暴風としている※1。
現場の地図を見ると、火元から道路を挟んですぐ左側には火が燃え移っていないことがわかるが、これは風向きの影響である。
画像:糸魚川市役所提供
◆けんか祭り
私が糸魚川に赴いたこの日も少し強めの風が吹いており、空気はひんやりとしていたが、天津神社は熱気で満ちていた。
リアル“風ニモ負ケズ”現象を起こしていたのは、天津神社春大祭(あまつじんじゃはるたいさい)、通称「糸魚川けんか祭り」だ。
昔から「十日の祭り」と呼ばれ、毎年4月10日・11日に行われている伝統芸能。
五穀豊穣を祈って押上区と寺町区の若衆が担ぐ、一の神輿と二の神輿をぶつけ合い、太鼓の太鼓の合図で一の神輿が走り出す。一の神輿が幣殿に上がるところを二の神輿に見られなければ勝ち、見られれば負け、というのを何度か繰り返す。回数はその年によってまちまち。
最後は双方が同じ位置から走り出して勝敗を決める。
押上区が勝てば豊漁、寺町区が勝てば豊作になると言われている。
ちなみに糸魚川市の小中学校は、毎年けんか祭りの日は午後が休みになるという。社会人も、けんか祭りを理由に会社を休むそう。
もっとも、糸魚川市民の大半は市内に勤めているため、職場も理解があるようだ。(この姿勢、東京も見習ってほしい。)
※1 正確には暴風域のこと。風速25メートルを超えるまたは超える可能性のある地域を暴風「域」としている。以下、参照ページ。
★糸魚川に関する記事①~③の動画版もあります。